フラッシュバックはスピリチュア
最近は精神が安定しない。
"たおやめ"という概念は感情の起伏が激しい。
尾木ママはセックスの事を「ラブクラフト」と呼んでいた。何故か分からないけど、急激な怒りに襲われた僕は尾木ママをインターネット詐欺に引っ掛けて混乱してる所をラリアットし、でんぐり返しさせたい。
ただ、それだけの感情が芽生えた。
何故かこの話を思い出した。
僕のおじいちゃんはボカロPだ。
初音ミクに軍歌を歌わせていた。
休日は産婦人科の前でずっと鎮座している。おじいちゃんは胎児は法的には物体と言っていた。中絶は殺人ではないと、婦人科の前でデモを起こしていた。
おじいちゃんは週に1度、闇サイトで羊水を購入する。「シルバー登山倶楽部」の活動の度、購入した羊水を水筒に入れ登山をする。
おじいちゃんはリュック代わりに「乙武」を背負い山を登る。乙武に「プールに投げ込まれたなう」とTwitterに呟かせたのもおじいちゃんの仕業だ。
乙武は拾ってきたらしい。
「乙武はラジコンじゃ。」
そう言って僕に乙武を遠隔操作するコントローラーを渡して来た。
実は乙武に性交渉を強要させてたのは僕だ。
おじいちゃんがくれたおもちゃだった。
ある日、おじいちゃんはまた変なものを拾ってきた。「この猫、俺が昔好きだった女に似てるんだよなぁ」と言って持って帰ってきたのは火垂るの墓に出てくる「節子」のダッチワイフだ。流石に自分も物怖じてしまった。
その夜から、おじいちゃんの部屋から「節子ォ〜節子ぉ〜」と呻き声が聞こえる様になった。怖かったけど、おじちゃんがいない隙に部屋に忍び込み探索した。
ボカロPであるおじいちゃんのデスクはモニターが3段に積まれており、真っ先に目が行くのでPCを調査した。
おじいちゃんのデスクトップに「節子」というファイルがあった。開いてみると、胎児のMRI(エコー)写真が大量に保存されていた。これはきっと産婦人科から盗んだものだ。
他にも部屋の本棚にあった「女の子★宣言」というファイルの中にはコンビニやデパートの三角コーナーで盗んだであろうナプキンが大量にラミネートされて保存されていた。
様々な奇行に興味をそそられ、親戚におじいちゃんについて色々聞き出した。おじいちゃんは昔、お婆ちゃんとの間で流産した経験があるらしい。何度も上手くいかず、精神的におかしくなってしまったらしい。
何故か愛おしく感じた。
後に、ぎっくり腰と共に認知症になりそのまま少年の様な目をしてこの世から去って行きました。
そこから僕は一時期、顔面麻痺で左側の顔がピクピク痙攣していた。ヨダレを垂れ流しながら笑顔の練習をしていた。
実はずっと彼を虐待していた。もしかしたら、おじいちゃんの呪いかもしれない。
リズムを刻みながらおじいちゃんの腹部に蹴りを入れる。その度に、無抵抗な彼が首から下げている、写真入りのペンダントが悲しく揺れる。呻く声、打撃の際、薄暗い部屋に響く濁った音。
おじいちゃんは僕に恐れの目を向けていた。
だから何でも言う事を聞いてくれた。
とても愛おしかった。
本当はおじいちゃんをラジコンの様に扱ってたのは僕だった。
最近は精神が安定しない。
"たおやめ"という記憶は感情の起伏が激しい。
おわり。