乙寧ディザスター

ネットニュースが伝える君の武勇伝

知識は甘くて苦い蜜の味

僕には一般家庭より少し多くお婆ちゃんがいます、これはその中の1人のお婆ちゃんの話をメモしたものです。

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 ①

数年ぶりに会ったお婆ちゃんは見ないうちにヨボヨボになっており、車椅子に乗っていました。まるで全てを悟った様な「佇まい」には年の功を感ぜざるを得ない程でした。お婆ちゃんの姿は「車椅子に鎮座しているヨーダ」みたいで愛くるしく何故か哀愁漂うもので、「早く殺してあげなきゃ」という使命感にも駆られそうになります。

② 

こんなに長生きして何が楽しいのかなと疑問に思うのですが、先ほど言った年の功、故にお婆ちゃんは物知りでした。自分はこの人から先人の知恵を奪ってやろうと思い入院しているおばあちゃんに毎日会いに行き様々な学を学びました。

 ③

お婆ちゃんは自分を殺してくれと言わんばかりに「人の殺し方」を教えてくれた。どうしてかは当時の多感期だった自分でもわかった。この人は早く死にたいんだなと解釈しましたが、興味の矛先になったお婆ちゃんに今死なれても退屈になるだけなので少しでも知識を絞れる様にお婆ちゃんを「飼育」する事にした。

 ④

お婆ちゃんはもしかしたら宇宙人なのかもしれない。だって教えてくれる事は道徳害な事か哲学しかないし、なんせ「ヨーダ」に似ているからだ。飼育して知識をもらう、まるで等価交換・契約みたいでした。お婆ちゃんは優しい顔をして知的障害者ダウン症についてよく話してくれた。

中でも記憶に印象付いているのが「ダウン症は健常者より染色体が一本多い。これは人類の進化だ。」と言った時のお婆ちゃんの顔です。とても嬉しそうなのに何かに怯えてる様な顔でした。

「進化しようとした結果、あの様な『未完成』が産まれた。それは決して恥じる事ではなく、進化の過程であり人類の進化の『糧』になる。」と言っていました。変に納得してしまいました。

時が経つにつれて精神が崩壊していくお婆ちゃんは等々言葉が喋れなくなり、「喃語」で僕に感情をぶつけてくる。単純な嗜虐心から早く殺してあげなきゃという気持ちが次第に強くなるが「飼育」の続きがまだあるし、「観察」もしたくなったので我慢を続けた。

お婆ちゃんの脳は当時持っていたガラケーの2MBより容量が少なくなってきました。「パケホ」にする為に僕はお婆ちゃんにお薬を投与してあげるのが日課になっていました。お薬を与えるたびにお婆ちゃんは気が狂う様に喃語で叫ぶのでした。

日々お婆ちゃんの顔は仏像の様に優しい顔になっていき、3級障害者から2級障害者までエスカレーターにのって進んでいきました。もしかしたらお婆ちゃんは神様なのかも知れません。仏像もヨーダもよく見たらダウン症みたいな顔だから。それとも宇宙人なのかな?と子供ながら疑問に思っているうちに、お婆ちゃんは仏様になって宇宙にいってしまいました。

未完全不完全燃焼な「飼育」と「観察」でした。僕はまだお婆ちゃんに沢山の知識を教えてもらいたかったので、悔しい気持ちでいっぱいでした。喃語を叫んでいたお婆ちゃんはとても愛おしかったので悲しい気持ちにもなりましたし、お婆ちゃんが灰になる姿は心苦しいものがありました。

僕はお婆ちゃんを食べました。

 

灰になったお婆ちゃんをぺろりと舐め、お婆ちゃんが自分の体の一部になり、知識を奪い取ってやった背徳感の様な感覚は快感でした。これで寂しくないのに、親戚の人達は僕の事を冷たい目で見て平手打ちで叩いた。

 

これで人を食べたのは2回目になった。

 

 

 

お父さんは今も僕の中でいきています。

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おわり